ランニングコストを甘く見てはいけない!

クラウド型のVDIソリューションの選択において、イニシャルコストだけでなくランニングコストに注目することは大切です。このブログでは代表的なクラウド型のVDIソリューションである Citrix Virtual Apps and Desktops™[1] と  VMware Horizon on AzureでのAzureにかかるランニングコストの違いについて解説します。

VMware Horizonと比較してワークロードのコストを43%削減

内部のベンチマークテスト結果から、Azure 上の Citrix Virtual Apps and Desktops™[1] は Azure 上の VMware Horizon on Azureと比較した場合、ワークロードの月額のランニングコストを最大 43% 削減できることが分かりました。同様のテストは2019 年 7 月にも実施していますが、今回のテストでも前回と同様の結果を得ることができました。前回のテスト結果はこちらになります。

Citrix Virtual Apps and Desktopsを使用して WVD ワークロードを Microsoft Azureので D4V2 インスタンスを実行し場合、Azure 上の VMware Horizon と比較して、同じインスタンスに最大 95% 多くのユーザーを展開できます。

1台の仮想マシンインスタンスあたりのユーザーセッション数が増えると必要な仮想マシンの台数も減り月額の料金が下がります。 Azure上のD4V2 インスタンスの平均コストは月額 450 USドルです。 Citrix Virtual Apps and Desktops を使用すると、Azure 上の Microsoft Windows 10 Enterprise マルチセッション ホストで 39 セッションをまでホストできます。 一方VMware Horizon on Azure では、最大容量は 20セッションに留まります。[2]

以下のグラフは、Windows 10 マルチセッション デスクトップ(WVD)のユーザーあたりの 1 ヶ月あたりの Azure のコストを示しています。 いくつかのインスタンスについて、Citrix と VMware のユーザーあたりの 1 か月あたりのコスト メリットを示しています。 [3] [4]

仮に1,000 セッションのお客様の場合、Citrix Virtual Apps and Desktops を使用すると、Azure でのコンピューティング料金が 11,000 US ドル低くなります。1台の仮想マシンインスタンスの単価を月額 450 USドルとした場合、VMware の使用コストは約 23,000 USドルで、 Citrix を使用する場合は月額 12,000 USドルです。

インスタンスを変更した場合でも同じでD3V2 を見ると、同様の結果が得られます。D3V2 はより安価なインスタンスであり、月額 約225 ドルで提供されています。許容でいるユーザーセッションを見るとCitrix Virtual Apps and Desktops を使用すると、 VMware Horizon on Azure が11 セッションに対して、Citrixはで最大 21 セッションをホストできます。

 サイズ Citrix セッション VMware セッション
D3V2 11 USドル/月 14 20 USドル/月 7
D4V2 12 USドル/月 21 23 USドル/月 11
D4V3 16 USドル/月 39 32 USドル/月 20

仮に1,000 ユーザーを前提としたシナリオでは、これは VMware の約 21,000 USドル/月の計算料金に相当します。 Citrix の場合、Azure のコンピューティング料金は約 11,000 USドル/月です。

以下のグラフは、Azure で実行されている Windows 10 マルチ セッションでの標準的なワークロードを前提にしたテスト結果を示しています。 グラフは3つの異なるインスタンスでの Citrix と VMware のスケーラビリティの違いを明確に示しています。

やっぱりWVDにはCitrixがいい

Citrix とVMwareも Windows 10 WVD ワークロードをサポートしていますが、Citrxの方が月額のランニングコストは低くなります。同じ予算であればユーザーにより潤沢なリソースを割り当てることができ、より優れたユーザー エクスペリエンス提供することができます。


根拠となるベンチマークテストについて

ここからは上記の数字的な根拠となっているベンチマークテストついて、深く掘り下げてお話します。

利用したベンチマークテストツール

実施したテストは、Citrix と VMware のワークロードにおけるランニングコストの違いを示すことを目的としていました。ホスト当たりのユーザー集約率を測るテストは、客観性を期すためにサードベンダー製のサイジングツールを使いました。具体的にはLogin VSI 社[5]のLoginVSIです。このツールはスケーラビリティとパフォーマンスを図るための実績のある業界標準ツールとなっています。

テスト環境

テスト環境以下のベーションのCitrix Virtual Apps and Desktops と VMware Horizon Cloud サービス環境で、それぞれ Microsoft Azure 上で実行され、同じWindows 10 Enterprise 1909マルチセッションOSのインスタンスを使用しました。

プラットフォーム バージョン クライアントバージョン
Citrix Virtual Apps and Desktops (Azure 上) 2006 Citrix Workspace App 2002
VMware Horizon on Azure Extending WVD  20.1.0  VMware Horizon Client 5.4.2

Citrix では CitrixOptimizer (v2.7.0.126)を使い、一方VMware Horizon Cloud は組み込みオプティマイザーを使用してOSイメージを最適化しました。 イメージのテンプレートは、ぞれぞれのベンダー固有のエージェントソフトウェア等を除けば、パッチレベルやソフトウェアは同じものを利用しています。 解像度は 1920×1080 は固定され、すべてがフル スクリーンモードで実行され、OneDrive のインストーラーとMicrosoft Defender を無効にしました。

Azure上の接続端末インスタンス スペック 台数
A4 インスタンス 8vCPU/14GB 5

その他、それぞれの環境に応じて必要なインフラストラクチャを構築しました。これには、VMware がノードとしてデプロイする D2v2 (2vCPU / 7GB) インスタンスが含まれています。 このインスタンスは VMware クラウド コンソールから自動にデプロイされます。

テストに使用されるすべての VM はテストごとに毎回再起動され、 OSの安定状態を作り出すため、テストが開始される前に10 分間のアイドル時間を設けました。

Azure インスタンス  スペック  月額計算料 (平均
D4V3 4vCPU/16GB (HT) $224
D3V2 4vCPU/14GB $225
D4V2 8vCPU/28GB $450 [6]

テスト対象のワークロードのインスタンスは 128GB の標準ハードディスク (非 SSD) を使用して実施されしています。価格はAzure のコスト見積もりツールを使用した 1 か月あたりのコスト算出しています。デフォルトの価格を選択し1年間の最低価格が使用されました。金額は1か月あたりの平均であり、1 US ドル単位で四捨五入しています。

テストでは、VMware Horizon および Citrix Virtual Apps and Desktop 環境をデフォルトの状態で実行し、デフォルト以外の特定の調整は行いませんでした。 プロトコルは[7] Citrix 側では CitrixEDT [8] を使用し、VMware では Blast Extreme を使用しました。VMware の推奨プロトコルが Blast Extreme であるため、今回のテストではVMware PCoIP 使用していません。

LoginVSIのナレッジワーカー用の組み込みスクリプトでLogin VSI テストが実行されました。テストで使用されたアプリケーションは以下になります。 これは前回のテストで使用したのと同じものです。

アプリケーション ナレッジ ワーカー
Adobe Reader   *
Freemind/Java   *
Internet Explorer   *
Microsoft Excel   *
Microsoft Excel   *
Microsoft Outlook   *
Microsoft PowerPoint   *
Microsoft Word   *
Photo viewer   *
DoroPDF   *

テスト精度を高める為に

今回テストの精度と確実性を高める為に以下の性質の異なる2種類の観測を行いました。

1. VSI Max [9](LoginVSIのテストにおいて快適にユーザーが利用できる最大ユーザー数) に達するまで、できるだけ多くのユーザーをログオンさせました。
2. 特定数のユーザー(CitrixまたはVMwareのいずれか最大)をログオンさせてパフォーマンスなどのメトリックスを監視しました。

これらのテストにより、Azure で WVD ワークロードを実行した場合の Citrix と VMware のスケーラビリティの違いを確認しました。

テスト結果

下記の2つのグラフを見比べて頂けると分かりますが、Citrixは明らかに VMware 上回る結果をみせました。ユーザーのスケーラビリティを 95% 向上させました。更に比VMware が処理できる最大のユーザー負荷でシステムをロードして、CPU 使用率も確認しました。

最初のテストで、Citrix と VMware の両方でそれぞれユーザーの限界数(VSIMax) を確認しました。

グラフは、VMwareHorizon が 24 セッションで VSIMax に到達したことを示していますが、VMwareHorizon on Azure と WVD の組み合わせでは、20 人のユーザーがオンラインでWindows 10 マルチセッションを実行すると、ベースラインより 1000 ミリ秒も応答時間が超えます。すなわち20人を超えたあたりでパフォーマンスの劣化がみられるようになります。

これを以下のグラフで Azure 上の Citrix Virtual Apps and Desktops と比較すると、同じグラフベースラインではCitrix が VSI MAX値に到達しておらず、24 人のユーザーがログオンしても何ら影響がないことがわかります。この 24 ユーザーのベースラインは Citrix にとっては大したことではありません。このグラフの横塾で示されるユーザー数では、VSIMax (限界値)を確認することはできませんでした。

次にいくつかのメトリックを見てみましょう。応答時間を示す縦軸に注目するとCitrix は VMware よりも短いユーザーのレスポンスタイムをを示します。平均応答時間は、Citrix の場合は 1026 ミリ秒、VMware の場合は 2062 ミリ秒です。すなわちCitrixの方が負荷が低く、レスポンスが良いということを示しています。単に集約度、コストといった観点だけでなく、優れたユーザー エクスペリエンスをユーザーに提供する観点でもこの結果は重要です。

次にCPUの負荷をみてみます。テスト中に、VMBlastW.exe プロセスと VMBlastS.exe プロセスが大量の CPU 時間を使用していることが分かります。全体的な CPU の使用量と 使用可能な RAM を見ると、VMware の CPU 使用率が際立っていました。

以下のグラフは、 D4V2 Microsoft Azure インスタンスのCPUの使用率をを示しています。VMwareのインスタンス(下段)はわずか 24 ユーザーで CPU 使用率が急上昇しているの対して、Citrix インスタンス(上段)は 24 人のユーザーでも変化は見られず軽々と処理しています。

本ブログはTwo-time low-cost leader: Citrix on Azure for WVD workloads beats VMwareを妙訳したもになります。原文はこちらを参照ください。本情報は2020年7月時点の情報を元にしており、これらの情報は予告なしに変更になる場合がありますので、あらかじめご了承ください。

ここで紹介するテスト結果およびテスト方法に関して不整合を特定した場合は、こちらのコメント欄までご意見をお寄せください。

[1] インフラストラクチャを含まない計算コストに基づいています。
[2] Login VSI ナレッジ ワーカーのワークロードに基づいていますworkload: https://www.loginvsi.com/documentation/index.php?title=Login_VSI_Workloads
[3] CVAD = Citrix Virtual Apps and Desktops
[4] TW+ = Thinwire
[5] https://www.loginvsi.com
[6] Azure 米国東部リージュン
[7] https://docs.vmware.com/en/VMware-Horizon-Cloud-Service/services/hzncloudmsazure.admin15/GUID-B6C49A99-0A72-418C-87DD-5C7751E7C951.html
[8] Citrix Enlightened データ トランスポート プロトコル: https://citrixblogs.wpengine.com/2017/11/17/hdx-adaptive-transport-and-edt-icas-new-default-transport-protocol-part-i/
[9] https://www.loginvsi.com/blog-alias/login-vsi/481-calculating-maximum-virtual-desktop-capacity-vsimax-explained?highlight=WyJ2c2ltYXgiLCIndnNpbWF4JyJd